カオハガン島で出会ったデザイナーかおり

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カオハガン島で出会った素敵デザイナーかおりにインタビューしてみた。
この人は面白い!ってなんとなく出会った時から思ってた。

インタビューそのものがとても豊かな時間。

■目次
1.初めて島にきたときのこと
2.ご近所付き合い
3.色で例えると
4.自然の恵みをいただく
5.島で5年過ごしてみて
6.気の流れ

■1.初めて島にきたときのこと

こばけん:かおりがカオハガン島に来たのはいつなの?

かおり:初初めて来たのは2009年の大学4年生のときだね。
高校のときの先生がすごく素敵な人で、自分で山小屋を建てたりしていて、昔から家族で島に来ていたみたい。その人の紹介。

自然が好きだったら、いいところあるよっていう、
「先生が言うんだったら間違いない」的なノリで来ちゃいましたね。
崎山さんの本も読まずに。

こばけん:僕も似たような感じで、今回紹介でここにきたんだよね。似てるよね。

かおり:最初来た時にびっくりしたのは子どもの目がスゴい綺麗だったこと。
親が保母さんだったので私も日本の子どもと接する機会が多いんだけど、
日本の子ども達と瞳の輝きが違うのが、印象的だったかな。
子どもはもともと、大好きだったから、透き通るような目にすごく惹かれたんだよね。

かおり:もちろん島の自然も印象的だったけど、やっぱり人が印象的で。
ロッジで寝てると「かおりー!遊ぼー!」みたいな感じで毎朝呼びに来てくれて、一日中、子ども達と散歩して遊んだり。
夜は島の人たちが星空の下でギターを弾いたりしてくれて、すごい幸せだったね。

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こばけん:環境っていうよりかはすごく島の人に惹かれたんだね。

かおり:ここの島民の、崎山さんがずっといることでできている、日本人との信頼関係があるね。
他の国に旅行に行くと、騙されないかと人を疑ったり警戒するところからはじまることもあるけど。
ここはそういうのがなく、崎山さんの友達でしょー、みたいな感覚で最初から、すごく近い距離感で話せるんだよね。

かおり:向こうが心を開いてくれているから、こっちも心を開いてしゃべれるんだよね。

距離の近さが観光じゃなくて生活するみたいな。

だから安心感というか自分の居場所みたいな感覚を覚えたんだと思う。

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こばけん:日本と比較するとどんなかんじ?

かおり:今はちょっと違うけど、そのころは就職活動ですごく悩んでいた時期で、日本っていうかなんだろ、日本社会がすごくマイナスのイメージで
実際自分の家族も、社会もギスギスした感じ。
細かいことを気にしなきゃいけないこととか、やっちゃいけないルールとか、そういうのが面倒くさいと思うタイプだからさ。そういうのから解放されたここの空気感。
素の自分になれる。ありのままでいいんだ。という
そういう意味で、わたしの住んでるところ(日本)と比べて好きだなって思うんだ。

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■2.ご近所付き合い

かおり:マンションとかで隣の人を知らないとか、友達に電車にのらないと会えないとか。
物理的な距離と心の距離とね。

家族の中で心を許せる人がいればいいけど、私の場合ちょっと遠かったなぁって。

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こばけん:2回目ここに来ようと思ったタイミングは?
かおり:新宿の会社に就職して4ヶ月働いていて、満員電車にゆられ1時間半通勤してて、今の私からしたら異常な状態。

会社に4ヶ月いたときに1ヶ月先輩から無視されていたこととか。
日曜日しか休みがなくて、休みは寝てるだけで人と会えないとか。
社会に出てみて、なんだろな。自分とは全く合わないストレスだらけの状態で。
ずっとカオハガンのことを思いながら。
過ごしていて。

ここ島の居心地のよさ。故郷のような感覚。
みんなが受け入れてくれる。

満員電車の中で音楽聞きながら〜子どもの透き通った瞳や笑顔を思い出しながら通ってたんだ。

それで自分にはきっと他に何かできることがあるはず!と
会社を辞めて1週間後くらいには、リフレッシュにいこうってカオハガン島にいったんだ。

■3.色で例えると

こばけん:満員電車にのってるときと今の自分で比べてみるとどんなかんじ?

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かおり:なんか仕事はじめてから、人間関係のプレッシャーとかで笑わない日々が続いたかなぁ。満員電車に乗り、苦痛でついた会社では無視され。で帰りも満員電車で、家に着いても家族とちょっと挨拶して寝るだけみたいな。

かおり:笑わない生活を色で例えると、ありきたりだけどグレーとか。
単調な毎日で、喜びが見いだせないというか。
色を与えてくれる要素があんまりないというか。
仕事だけ。みたいなグレーかな。

で、今の自分はこの5年間で相当の変化があったんだよね。
なんだろーなー。

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なんか自分の中にある色はブルーだと思っているんだ。

なんか静寂とか静まるとか。包み込むとか。おだやか

こばけん:どんなブルーなの?

かおり:ブルーといっても色々あるよね。
私は無色透明でありたいと思っていて、
海のように、空を移し込んだブルーになりたいんだよね。

クリアーなブルー。

かおり:私はヒーリングデザイナーとしてやっているんだけど
自然と溶け込むような色になりたいんだよね。

4.自然の恵みをいただく

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かおり:私がここにきて変わったのは、
「自分が自分だ。」っていうものを持たないで
先入観を持たずに割と空っぽの状態で人とも接している。

経験重視なので。今自分が選択してるものって。

なんかこう自分の意識が外側にあるというか、客観的になれるというか。
自分の軸はもっているんだけど
じぶんの考えに固執せず、将来とかも
「先のビジョン」を描いていなくって、その都度その時の感覚で選んでいるんだよね。

そのときいいと思うところにいく、というかあまり予定を決めすぎないんだよね。
わりと導かれるまま。そういう状態。

こばけん:自分も近いような感覚があって、もともとすごく予定きっちりたてたりとかマイルストーンこれこれこーでーとかやってたんだよね。
夢はあってもいいとおもうけど自分の場合は未来でもなく過去でもなく
「今」この瞬間どこにワクワクしてるのかを大事にしてる。

かおり:私、子どものころから聖書の影響を受けて育っていて、初めてここに来たときに自分的にはエデンの園だなって思って。
っていうのはアダムとイブがいて知恵の実だけはとっちゃいけないけど、他はなんでもとってもいいですよって神様に包まれて、生かされていて。で、ここでは自然の恵がいっぱいで、崎山さんのくる前は現金つかわず交換だけで生活してた。この島は絆が強く一つのコミュニティ(家族)としてできている。自分がすごく祝福された気がしている。

かおり:本は感謝するという感覚がすごく薄れていて
お金があれば買えるし、1000円出せば物が手に入るし、そこに感謝ってないよね
誰が作ったかも分からないし。

そうじゃなくて自然から得る恵みに感謝する。
人間根本的な生き方として。

かおり:ここの島の人達って先を心配しないんだよね。
日本って四季の影響もあるかもしれないけど
冬にそなえてとか準備準備。

明日お魚とれるかわからないけど、明日なんとかなるさ。という考え方。
だからすごく明るいんだよね。フィリピン人は。

自殺者少ないし、というかこの島は0だし。

こばけん:日本人って何年先にむけて○○せなば〜とか対策とかそういうの多いよね。
広告の影響かもしれないけど。

かおり:極論だけど、死んじゃったら終わりだよね。

こばけん:人の経験はわからないけど準備しててよかった経験は0だね笑
なんか不安に押しつぶされて苦しいし、ワクワクしないよね。

5.島で5年過ごしてみて

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※かおりがデザインしたカフェ「ヒーナイ・ヒーナイ」

かおり:今思うと、5年間で積み上げてあげたものはとても大きくて、カフェやビーチをデザインさせてもらって、日本の企業だと任されないようなことも経験できた。
今はその経験があるから、次につながったというか。実はまだ具体的なことは決まって無いんだけど
こういう特殊な経験をしたことで次のSTEPに進める材料がすごくある。

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かおり:普通の企業で5年やるのもより、私には島での生活が合っていたんだと思う。
だからこそ、このタイミングで日本に戻って、島で得られたものを還元して
お金という経済基盤をたてなおそうかなっていうタイミングかな。

こばけん:日本に戻ったら今までとして違う視点で物事が観れそうだね。

かおり:そうそう、最初の島での生活を終えて1年ぶりに新宿降り立ったときの感覚は、「そうそう、わたしのいた世界ってこっちだったー」って感じたよ。やっぱり日本のほうが長くいたからかな。
カオハガンに1年にいたのが夢だったのかなって

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かおり:2年目以降は日本との行き来でたくさんのことを感じた。まずは、食事のこと。
島では毎日決まった時間に食べる。冷蔵庫がない分新鮮なものが食べられる。その日に豚や鶏を絞めて食べたりするんだけど、エネルギーが食材にはあると思っているんだ。あと、山の頂上のご飯が美味しいのと一緒で、新鮮な空気の中での食事って最高に美味しい。
今まで、日本だと普通にスーパーで冷凍の食材やレトルトを買ったりしていて、食べてて美味しいんだけど、そのあとすぐ空腹になっちゃう。
カオハガンでの食事はおやつがいらないというか、すごく満たされるんだよね。満足が長持ちする。

ここって広告がない島でテレビがない島。自然とつながってる。
でも東京に帰ると広告だらけだし情報量が多すぎて、知らない間に疲れちゃう。
都会のビルの中にいるとすごく空気が重くて、帰るとどーんと体が重くなっちゃうんだよね。

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6.気の流れ

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かおり:ここで暮らすことで気の流れが分かるようになったんだ。
ここに椅子をおくと気の流れがよくなるとか。これは無いほうがすっとするとか。なんか展示とかで空間づくりをやってても、このカーテンは外そうとかわかるようになった。
実家に帰ると、物の多さにめまいがするんだけど笑。
心地いい空間、心地よい気の流れが感覚的にわかるようになった。
東京とかの室内ビルにいたりすると息苦しくて「すみません、窓あけていいですか」とかすごい感じるようになったかな。

こばけん:カオハガンなのかどこにいくかわからないけどこれからも居心地がいい場所を選んでいけそうだね。

かおり:たぶんそうじゃないところはいかないだろうね。
あえて居心地が悪い空間にいて得る物はないだろうしね。

ここをいったん離れ、日本に帰ると決まって、今思うこと。それは、本当にここが素敵な場所で空間で、それをもっと島民たちで創りあげていきたいっていうこと。島の自然を守っていきたいっていう思いもある。
だけど、崎山さんみたいに島のために役立つためにはもう一歩上の段階に上がりたい。知識にしても、スキルにしても。

一度島と外から関わり、その間に別のスキル、別の社会で過ごしてみたい。
その後で成長した自分を島に還元したいなって

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かおり:私自身「癒し」という言葉をキーワードに活動していて
路上で高校三年生のときからポストーカードを売っていたんだけど。

アートを通して人と人が繋がっていけたらいいなって
色んな空間や人をコーディネートしていきたいな。

仮に、日本でリセットして違う方向に0からスタートすることもできるけど、島でやってきたことって、こんなにわくわくすることってない。
自分がもっとパワーアップして島に戻ってきて、そこで島民達と面白いコミュニティが作れたら絶対楽しいと思っていて。ひとつの国をつくっているみたい。
そこでたくさんの人と繋がって、子どのたちの瞳のような、きれいな輪が大きくなっていったらなって思う。

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